「こども本の森」から「明治なるほどファクトリー」へ。有言実行の2日間
大阪視察報告:次世代に手渡す「知」の森と「食」の未来
1. 2年前の「約束」から始まった、知と食の探究
「本市の子どもたちにも、こんな最高峰の読書環境を届けたい」。
2024年4月、当時まだ構想段階だった大阪の中之島の取り組みを知り、いつか必ずこの目で確かめ、厚木の未来に活かすと心に決めていたのです。
あの日の決意が、2026年3月、ついに現地・中之島での視察として結実しました。今回の視察テーマは、大きく分けて二つ。「知の森(子どもが主役の空間づくり)」と、「食の未来(持続可能な体験型食育)」です。
デジタル化が加速する今だからこそ、子どもたちが「紙の重み」や「ページをめくる高揚感」、そして「食の命」を肌で感じられる場所が必要です。本市で進む新図書館計画や、次年度から本格化する「幼保小連携」において、どのような「空間の質」が求められているのか。その答えを求めて駆け抜けた、濃密な2日間の記録をお届けします。
2.【第1日】こども本の森 中之島
細部に宿る「こども第一主義」の感動
安藤忠雄氏が設計・寄贈されたことでも知られる「こども本の森 中之島」。館内に一歩足を踏み入れた瞬間、そこには大人の常識を心地よく裏切る「子どもサイズ」の世界が広がっていました。
身体感覚で知る「最適サイズ」の優しさ
視察中、私が最も感動したのは、館内の「階段」でした。大人の歩幅には少し小さく、一段の高さも低い。
しかし、それこそが子どもたちが無理なく登り、そのまま段差に腰を下ろして本を広げられる「最適サイズ」なのです。無理に椅子に座らせるのではなく、子どもが自分の居心地の良い場所を自律的に見つける。その一歩一歩が、子どもの主体性を支えているのだと実感しました。
直感に訴えかける「本との出会い」
驚いたのは、本の分類方法です。一般的な図書館のような数字による分類(日本十進分類法)ではなく、「自然」「生きもの」「たべる」といった直感的なテーマ別で配架されていました。これなら、まだ文字が読めない未就学児でも、背表紙の雰囲気やアイコンを頼りに自分の興味に辿り着けます。
「本を探す」のではなく、「本と出会う」プロセスそのものが冒険になっている。木の温もりと川の流れを感じる開放的な空間で、親子が時間を忘れて本に没頭する姿を見て、本市でも「こどもコーナー」という枠を超えた、子どもの好奇心の動線に沿った配架のイノベーションが必要だと確信しました。



https://kodomohonnomori.osaka
3.【第1日】大阪府立中之島図書館
120年の歴史と「18:00の人間模様」
続いて訪れたのは、重要文化財でもある「大阪府立中之島図書館」です。1904年に建てられたこの重厚な空間で、平日の夕暮れ時に目にした光景に、私は純粋な驚きと感動を覚えました。
空間が「行動」と「敬意」を規定する
視察に訪れたのは18:00頃。館内には、試験勉強に励む学生から、静かに資料を読み込むご年配の方まで、多世代が入り混じっていました。そこで流れていたのは、誰に強制されるでもない「学ぶことへの深い敬意」に満ちた静寂です。
120年前のステンドグラスが放つ神聖な空気、使い込まれた木の机の感触……。こうした本物の質感が、訪れる人々の心を落ち着かせ、集中力を高めているのです。本市でも新図書館の座席数が増えることが決まっていますが、大切なのは「数」という数字の充足だけではありません。市民が誇りを持って机に向かえる「思考を深めるにふさわしい空間の質」をいかに確保するか。これこそが、計画に関わる私たちが果たすべき使命だと再確認しました。

コラム:思わず「HERO」の世界へ!
1日目の最後に大阪市役所の内外観を見学した際、ロビーに足を踏み入れた途端に震えるような既視感を覚えました。
その重厚感あるロビー、そう、ドラマ『HERO』のあのロケ地だったのです!私は『HERO』をはじめ、『ドクターX』『アンナチュラル』『ガリレオ』といったプロフェッショナルが活躍するドラマを鬼リピするほど大好きでして……(笑)。
思わず守衛さんに「ここ、HEROで使われていましたよね?」と聞いてしまいました。どの場面かも分かるほど感激してしまい、一緒に行った議員仲間に熱弁を振るってしまったのは、ここだけの内緒です。

4.【横手市との比較】ゾーニングの重要性
多世代が共存するために
今回の大阪視察を経て、今年2月に訪問した秋田県横手市の新施設「Ao-na(あおーな)」での学びとも、大きな点と線がつながりました。
横手市で衝撃を受けたのは、徹底した「ゾーニング力」です。中高生(ヤング世代)がリラックスできる専用エリアがある一方で、学習エリアは「イヤホン禁止・音漏れ禁止」という厳格なルールが守られ、満席になるほど活用されていました。
「未就学児・小学生が主役の中之島」と「中高生の居場所を確立した横手」。この両方の視点を厚木に持ち帰ることが、今の私にとって最大の課題です。
100年に一度と言われる予算規模の複合施設。駅前一等地の利便性をどう活かし、利用者別の空間をどう確保するのか。単なる「新しいハコ」ではなく、誰もがマナーを守りつつ自分の居場所を見つけられる。そんな「みんなの居場所」としての設計を提言してまいります。



5.【第2日】明治なるほどファクトリー関西
五感で学ぶ「食育」の最前線
視察2日目は高槻市へ。最新の「カカオスタイル」を発信する明治の拠点にて、子どもたちと同じ目線で見学ルートを歩きました。
この視察には、もう一つの切実な理由がありました。実は明治は現在、厚木市酒井地区に約400億円を投じた「神奈川新工場(仮称)」を建設中で、2027年3月の稼働を予定しています。ヨーグルトを中心とする次世代スマートファクトリーが、まもなく私たちの街に誕生するのです。その完成前に、「明治の食育とはどういうものか」を自分の目で確かめておきたい。それが今回、大阪まで足を運んだもう一つの動機でした。
「なるほど!」が響く、五感のワンダーランド
巨大な板チョコ看板に驚く声、カカオの芳醇な香りに鼻をくすぐられる体験。そこには「おいしい」の裏側にある歴史、科学、そして作り手の想いが詰まっていました。教科書で「カカオの産地」を暗記するよりも、実際にカカオの実の大きさを知り、香りを嗅ぎ、触れること。この「体験の解像度」こそが、子どもの知的好奇心に火をつけます。
捨てられるものを価値に変える SDGsの「見える化」
特に感銘を受けたのは、カカオの皮(ハスク)を家具や紙へと変えるアップサイクルの展示です。「食べ残しを減らそう」という呼びかけも大切ですが、「本来捨てられるはずのものが、こんなに素敵な家具に生まれ変わるんだ!」という驚きは、子どもの創造力をダイレクトに刺激します。
厚木の新工場は、全電化によるCO2排出ゼロ・水使用量半減を目指す「カーボンフリーなスマートファクトリー」として設計されています。この最先端の取り組みと、食育・環境学習をつなぐ仕組みを地元の学校教育の中に根付かせること。
本市の給食現場や食育センターにおいても「循環の見える化」を取り入れ、子どもたちが環境問題を「自分事」として体感できる最高の教育機会を創り出したい。そう意欲を新たにしました。


https://www.meiji.co.jp/learned/factory/kansai/
6. 厚木の未来を創るための「3つの提言」
今回の視察で得た膨大な知見を、以下の3点に集約し、速やかに市政へ反映させます。
7. すべては子どもたちの輝く未来のために
4ヶ所の視察を詰め込んだ、まさに「キツキツ」のスケジュールでした。しかし、移動中の電車内で必死にペンを走らせる時間は、私にとって至福の時でもありました。
感動が他の記憶で上書きされる前に、一つひとつの気づきを言葉にする。そのメモの積み重ねが、この報告書になっています。
小田原を過ぎ、小田急線に乗り換えて窓の外に厚木の風景が見えてくると、不思議と深い安心感に包まれます。
私はやはり、この街が大好きで、骨の髄まで「厚木人」なのだと自覚します。
2年前に抱いた「夢」は、今、具体的な政策としての「確信」に変わりました。この視察で得た熱量を、そのまま市政の力強い歩みに変えてまいります。
担当課への詳細な報告書作成、そして次回の委員会での発言……いよいよ厚木の番です。次世代に最高のギフトを手渡せるよう、これからも全力で走り続けます!

厚木市議会議員:望月 真実(もちづきまみ)