「独身税」の再来か?

議員活動

厚木市国保条例改正と、こども・子育て支援金の正体

1. ざわつくネットと「独身税」という不穏な言葉

最近、SNSやニュースのコメント欄で、ある言葉が飛び交っています。
「実質的な『独身税』ではないか?」
そのきっかけは、令和7年度から順次導入される「子ども・子育て支援金制度」です。現在、厚木市議会でも審議されている「議案第22号:厚木市国民健康保険条例の一部を改正する条例」には、この新しい負担の枠組みが盛り込まれています。
「こどもがいない世帯からも徴収するのか?」「独身者は負担が増えるだけなのか?」
こうした不安の声はもっともです。しかし、この制度の本質は「特定の誰かから奪うこと」ではありません
市議会議員として、そして地域で「こども食堂」を運営し現場を見続けてきた一人として、この問題の核心を丁寧に紐解いていきたいと思います。

▼令和8年度から「子ども・子育て支援金制度」が始まります▼
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/soshiki/kokuhonenkinka/9/51379.html

2. 国保が「3階建て」から「4階建て」へ変わる日

今回の条例改正は、一見すると非常に事務的です。しかし、私たちの家計に直結する大きな変化を内包しています。
これまでの国民健康保険料は、以下の「3階建て」で構成されてきました。

1. 基礎賦課額(医療分):皆さんの医療費に充てる基本分
2. 後期高齢者支援金分:75歳以上の方々の医療を支える分
3. 介護納付金分:40歳〜64歳の方が支払う介護の備え

▼子ども・子育て支援金制度が開始します▼
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/material/files/group/21/Leaflet.pdf

ここに今回、新しく「4階」部分として「子ども・子育て支援納付金」が加わります。

これは厚木市独自のルールではなく、国全体の法律(子ども・子育て支援法)の改正に伴うものです。会社員の社会保険や公務員の共済組合も含め、全世代が医療保険を通じて出し合う仕組みです。なぜ、このような大きな仕組みの変更が必要なのでしょうか。
その答えは、私が10年間立ち続けてきた「現場」にあります。

▼子ども・子育て支援金制度について▼
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/material/files/group/21/gaiyou.pdf

3. 現場で感じる「10年の変化」と限界

私が厚木市内で「こども食堂」を立ち上げてから、早いもので10年が経ちました。
現在、市内ではフードパントリーを含め6団体が活動していますが、どの会場も参加者は非常に多く、支援のニーズは減るどころか、むしろ年々高まっているのを肌身で感じています。
10年前、活動を始めたばかりの頃は、支援の対象は主に「経済的困窮世帯」でした。しかし今は違います。
長引く物価高騰は、特定の層だけでなく、私たちの生活のあらゆる場面で家計を圧迫しています。共働きで懸命に働いていても、予期せぬ出費や生活コストの上昇で、精神的にも経済的にも追い詰められてしまう。
かつては「お腹いっぱい食べてほしい」という願いから始まった活動でしたが、今では孤立する親御さんの悩み相談や、ヤングケアラーの子たちの居場所作りなど、課題はより複雑化し、多方面からの支援が必要になっています。

こども食堂は今や、単なる食事の提供場所ではなく、地域の「最後のセーフティネット」です。しかし、民間のボランティア活動だけでは、この巨大な波を支えきることはできません。だからこそ、国や自治体による「制度としての支え」をアップデートする必要があるのです。

4. 集められた支援金が届く「6つの出口」

「また負担が増えるのか」という不安に対して、政治が示すべきは「そのお金がどう使われるのか」という明確な答えです。
今回の改正で加わる支援金は、法律により以下の6つの事業に限定して使われることが決まっています。

児童手当の抜本的拡充所得制限を撤廃し、高校生年代まで延長されます。第3子以降は月3万円に増額されます。
妊婦のための支援給付妊娠届出時と出生後に、計10万円相当が支給されます。
育児時短就業給付2歳未満の子を育てながら時短勤務をする際、賃金の10%相当が支援されます。
出生後休業支援給付両親共に育休を取れば、最大28日間、実質的に「手取り10割」が保障されます。
こども誰でも通園制度親の就労要件に関わらず、時間単位で保育所を利用できるようになります。
国民年金保険料の免除自営業などの第1号被保険者を対象に、育児期間中の免除措置が新設されます。

これらは、かつて「子育ては家庭の責任」とされていた領域に、社会全体で手を差し伸べる大きな一歩です。

▼加速化プランによる子育て支援の拡充と子ども・子育て支援金▼
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkin

5. なぜ「全世代」での負担が必要なのか

ここで再び「独身税」という議論に戻ります。なぜ、こどもがいない世帯や独身の方も負担しなければならないのでしょうか。

私は、少子化対策は「未来の社会に対する保険」だと考えています。
厚木市の街並みを支え、将来の医療や年金制度を支えるのは、間違いなく今のこどもたちです。
もし少子化に歯止めがかからなければ、将来的に現役世代一人あたりの負担は数倍に跳ね上がり、街の機能そのものが維持できなくなります。

「こどもがいるから得をする、いないから損をする」という対立構造ではありません。「次世代を健やかに育てることで、自分たちの将来の社会を守る」
これがこの制度の根底にある考え方です。10年前には想像もできなかったような物価高や社会変化の中に私たちはいます。
だからこそ、今までの当たり前を見直し、新しい支え合いの形を模索しなければなりません。

6. 政治に求められる「透明性」と「納得感」

もちろん、「制度の趣旨は分かった。でも負担はきつい」という市民の皆様の切実な声は、議会に重く届けられています。
令和8年度(2026年度)から徴収が始まるこの支援金。全医療保険の平均で、令和8年度は月額250円、令和10年度には450円程度になるという試算が出ています。
政治の役割は、この負担をお願いする以上、無駄を徹底的に省くことです。「社会保障の歳出改革」を同時に進め、実質的な負担増を極力抑える
そして、集めたお金が確実に「厚木のこどもたち」と「それを支える家庭」に届いているかを、私たち議員が厳しくチェックし続けなければなりません

※「欠席」や「居眠り」などあってはならないのです!!市民の声を一般質問で問えるのは議員なんです!!議場(委員会、傍聴)での態度は、市民の皆様への敬意の表れです。
私は常に、皆様の視線が背中にあることを自覚し、背筋を正して議会に臨んでいます

議会の1分をムダにしないために

厚木市では現在、新しい複合施設「あつめき」の建設が進んでいます。
こうしたハード(施設)の整備と、今回の支援金のようなソフト(制度)の充実。この両輪が揃って初めて、本当の意味で「子育てしやすい街」が実現します。

7. 結びに代えて:厚木の未来を、共に作る

私は、子ども食堂での活動を通じて、経済的な困窮や孤独に直面する親子をたくさん見てきました。
今回の条例改正は、単なる数字の変更ではありません。そうした親子を「社会が見捨てない」というメッセージでもあります。

「独身税?!」というショッキングな言葉に惑わされることなく、この制度が私たちの街、厚木の10年後、20年後をどう変えていくのか
市民の皆様と一緒に考え、議論し、そして誰もが「厚木で暮らしてよかった」と思える街を作っていきたい。それが、三期目の重責を担う私の決意です。

審議の経過や、具体的な負担額の詳細については、今後も市政レポートやSNS、そしてこのコラムを通じて逐次お伝えしていきます。
ぜひ、皆様の率直なご意見をお寄せください。

厚木市議会議員:望月 真実(もちづきまみ)

 

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