命の選択を迫らせない防災の実現
なぜ今、ペット防災なのか
「災害が起きたとき、この子を置いてはいけない。だから私はここに残る」 過去の大規模災害において、そんな言葉を残して避難を諦め、自宅に留まった方々がいます。
また、避難所まで辿り着きながらも、鳴き声や周囲の目を気にして、過酷な車中泊を選び、体調を崩された方々もいます。
私は、こうした「命の選択」を市民に強いる現状を、政治の力で変えたいと考えてきました。
ペットは単なる愛玩動物ではなく、家族の一員であり、生きる支えです。
飼い主にとって、ペットの安全が確保されないことは、自分自身の安全を諦める理由になってしまうのです。
「誰も取り残さない防災」を実現するためには、ペットを連れた避難を「特別な要望」ではなく、「当たり前の備え」として自治体のシステムに組み込まなければなりません。
令和7年2月、厚木市議会での一般質問を通して、私はこの課題に真正面から切り込みました。
1 現場の混乱を招く「言葉の壁」を打破する
まず、これまでの議論で大きな障壁となっていたのは、「同行避難」と「同伴避難」の言葉の混同でした。
多くの自治体が掲げる「ペット同行避難」とは、避難所まで一緒に逃げることを指します。
しかし、避難所に到着した後の生活空間については、屋外のケージや車中泊を想定しているケースが少なくありません。
一方、飼い主が本当に求めているのは、同じ屋根の下で安心して過ごせる「同伴避難」です。
この認識のズレが、いざ災害が起きた際の現場の混乱や、避難所内での人間関係のトラブル、そして「避難所に行ったけれど受け入れてもらえなかった」という絶望感に繋がっています。
私は議会において、この二つの概念を明確に整理し、現在の本市の備えがどちらを指しているのか、そして市民のニーズに対して何が不足しているのかを問い質しました。
目指すべきは、最初から「同伴」を前提とした場所を確保すること。それが、今回の提言の核となりました。
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/soshiki/seikatsukankyoka/5/2/4079.html
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/material/files/group/35/manual.pdf
2 議会での激論:専用避難所という新たな選択肢
これまでの避難所運営では、動物アレルギーを持つ方や、動物が苦手な方、そしてペットを連れた方の共存が大きな課題でした。
限られたスペースの中でエリアを分けるだけでは、鳴き声や臭い、衛生面の問題を完全に解決することは困難です。
そこで私は、既存の避難所の中に無理にスペースを作るのではなく、「ペット同伴専用の避難所」をあらかじめ指定するという、一歩踏み込んだ提案を行いました。
◆ 運営の専門性:動物愛護団体や獣医師会との連携、そしてボランティアの受け入れ体制など、専用避難所だからこそできる質の高い管理体制の構築。
◆ 事前の周知:どこに行けば受け入れてもらえるかが事前に分かっていれば、発災時の迷いがなくなり、迅速な避難行動に直結すること。
この問いに対し、行政からは「重要性は認識している」というこれまでの定型的な回答を超えた、具体的な検討への意欲が示されました。

3 「令和8年3月」という明確な期限付きの約束
政治は、議論して終わりではありません。形にして初めて、市民の命を守る盾となります。
私の質問に対し、市からは「ペット同伴避難専用の避難所を指定する考えがある」との前向きな答弁がありました。
さらに重要なのは、この答弁が「検討します」という口約束で終わらなかったことです。
● 完結予定:令和8年3月
このように「いつまでに、何をするか」を文書で確定させたことは、本市のペット防災における歴史的な一歩です。
令和8年春、厚木市にはペットと共に安心して逃げ込める場所が、確かな仕組みとして誕生することになります。
4 課題は山積、しかし方向性は決まった
専用避難所の設置が決定したことは大きな前進ですが、まだ解決すべき課題は多く残されています。
◆ 備蓄の拡充:ペットフードやケージ、衛生用品の備蓄だけでなく、それを管理する体制。
◆ ルールの策定:避難所内でのマナー、ワクチンの接種状況の確認、トラブル発生時の対応ガイドライン。
◆ 市民との協働:行政だけで運営するのではなく、飼い主自身も日頃からしつけや備え(マイケージ、予備の薬等)を徹底する意識の醸成。
私は、これらの課題を「知らせる側」ではなく、市民の皆さまと共に考える「一緒につくる側」として、今後も議論の先頭に立っていきます。
※同伴避難の防災訓練実施も提言中です。開催できる場合はすぐにお知らせします。

人の尊厳を守るための防災
ペット同伴避難の問題は、単なる「動物愛護」の議論ではありません。それは、極限状態における「人の尊厳」を守るための政策です。
大切な存在を失う恐怖を感じながら避難生活を送るのか、それとも寄り添い励まし合いながら明日への活力を保つのか。
その違いは、街のレジリエンス(復元力)に直結します。
今回勝ち取った「専用避難所の設置」という成果は、未来の厚木市の姿を形づくる大切なパーツの一つです。
10年後、この街で暮らす人々が「厚木なら、何があってもこの子と一緒に乗り越えられる」と、当たり前のように思える社会を目指して。
これからも私は、皆様からお預かりした現場の声を、一つひとつ丁寧に行政へ届け、形に変えていくことをお約束します。
厚木市議会議員:望月 真実(もちづきまみ)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3002.html

