厚木市の「イクボス」、「あつぎスマート・ワーク宣言」
平成28年の一般質問から始まった、厚木市の「イクボス」そして「あつぎスマート・ワーク宣言」
政策は、質問しただけでは実現しません。
議会で取り上げ、行政に必要性を伝え、答弁を引き出し、その後の取り組みを確認し、形になったものをさらに進化させていく。
私が議員として大切にしているのは、「言った」で終わらせず、「実現した」まで見届けることです。
その一つが、厚木市の働き方改革につながった「イクボス」の取り組みです。
今では「あつぎスマート・ワーク宣言」という形で、厚木市の職員が働きやすい職場づくりに取り組んでいます。
その出発点には、平成28年(2016年)の私の一般質問がありました。

「イクボス」という言葉を、厚木市役所にも
平成28年12月。
私は厚木市議会の一般質問で、「イクボス宣言」について取り上げました。
イクボスとは、単に「育児をする職員を応援する上司」という意味ではありません。
職場でともに働く部下のワーク・ライフ・バランスを考え、その人のキャリアや人生を応援しながら、組織として成果も出し、自分自身も仕事と生活を楽しむことのできる上司。
つまり、部下の人生も、組織の成果も、どちらも大切にするリーダーです。
当時は、民間企業や自治体でイクボス宣言が広がり始めていました。
神奈川県や平塚市、大和市、鎌倉市、横浜市、川崎市などでも取り組みが進んでいました。
一方で、私は厚木市にも必要だと考えました。
なぜなら、働き方の問題は「子育て中の職員だけの問題」ではないからです。
子育てだけではありません。
介護、病気、家族との時間、地域活動、自分自身の生活。
職員一人ひとりに、それぞれの人生があります。
だからこそ、上司が「仕事だけを優先することが当たり前」という価値観から変わらなければ、職場は変わらない。
そして、職員が安心して働ける職場をつくることは、最終的には市民サービスの向上にもつながると考えました。
答弁から一歩ずつ、政策を動かす
この一般質問に対し、当時の副市長からは、上司自身が意識改革を持ち、より良い職場環境をつくることが重要だという趣旨の答弁がありました。
さらに、イクボス宣言についても、研修を通じて職員に伝えていくこと、そして行政として取り組んでいくことを約束していただきました。
ここで終わっていたら、「一般質問をしました」で終わりです。
私は、その後の動きを追いました。
そして平成29年(2017年)4月。
厚木市は「あつぎスマート・ワーク宣言(働きやすい職場宣言)」をスタートさせました。
イクボスという名称そのものではありません。
しかし、目指しているものは、まさに「上司が変わり、職員が働きやすい職場をつくる」というイクボスの考え方を厚木市独自の形に落とし込んだものでした。
イクボスドットコムにも、2017年5月8日付で「厚木市にて市長はじめ幹部職員らが『スマートワーク宣言』」と掲載されています。

「宣言して終わり」にしない
私が特にこだわったのは、宣言そのものではなく、その先です。
平成29年には、厚木市の「あつぎスマート・ワーク宣言」に基づき、長時間労働の削減や職員の健康管理などの取り組みが進められました。
地方公務員災害補償基金の事例報告では、平成29年4月から9月までの時間外勤務時間総数が前年度比で10%以上削減されたことが紹介されています。さらに、ノー残業デーを徹底するための「夕礼」や時間外管理シートなどの取り組みも報告されています。
また、平成29年当時、ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さんを招いた報告会も開催されました。
単に「宣言しました」ではなく、
職場で実践する。
成果を確認する。
さらに改善する。
このサイクルを回していくことが、政策を「実現」から「定着」へ変えていきます。


全国に誇れる「厚木市独自」の取り組みへ
その後の議会でも、私は「あつぎスマート・ワーク宣言」について取り上げました。
当時、厚木市では、市長・副市長・教育長・部長級による宣言に加え、課長級の宣言、さらに職員による「部下力宣言」という取り組みが行われていました。
私はこれを「あえて三部作」と表現し、全国に向けてもっとアピールしてもいいのではないか、と提案しました。
部下も、自分たちの働き方や職場づくりに主体的に関わる。
上からの改革だけではなく、職員一人ひとりが職場をつくっていく。
ここに厚木市らしさがありました。
当時の副市長からも、厚木市独自の取り組みとして、職員が働きやすく、家庭も大切にできるワーク・ライフ・バランスの取れた職場をつくり、それを市民サービスとして提供していきたいという趣旨の答弁がありました。
まさに私が目指したかった政策の方向性です。
平成29年から令和6年へ。取り組みは「進化」した
そして現在。
「あつぎスマート・ワーク宣言」は、単なる過去の取り組みではありません。
厚木市は令和6年(2024年)4月に宣言をリニューアルしました。
② 健康経営の推進
③ 自分らしい働き方の実践
この3本柱を掲げ、ライフステージに応じた働き方や、相談しやすい職場環境づくりを進めています。
厚木市自身も、平成29年の取り組み開始以来、時代に合わせて形を変えながら、時間外勤務の削減や休暇取得の促進などに取り組んできたとしています。
さらに、現在の実施要領には、この取り組みの目的として、職員が一体となって心身ともに健康で能力を最大限発揮できる職場環境をつくり、持続可能な市政運営と市民サービスの向上につなげることが明記されています。
これは、平成28年の一般質問で私が訴えた考え方と重なります。
「働きやすさ」は、職員のためだけではない
私は、働き方改革を「職員が楽をするための政策」だとは考えていません。
むしろ逆です。
市役所で働く職員が疲弊してしまえば、その影響を受けるのは市民です。
困ったときに相談できる。
子育ても介護も、自分の生活も大切にできる。
そして、仕事にはしっかりと責任を持つ。
そんな職場で働く職員だからこそ、市民の困りごとにも余裕を持って向き合うことができます。
職員を大切にすることは、市民を大切にすること。
私は、そう考えています。

「質問」から「政策実現」へ。これからも追い続ける
平成28年(2016年)に一般質問で取り上げた「イクボス」。
そこから研修、宣言、実践へと進み、「あつぎスマート・ワーク宣言」という厚木市独自の働き方改革につながりました。
そして令和6年(2024年)には、時代に合わせてリニューアル。
令和7年度(2025年度)の男女共同参画関連事業でも、年次有給休暇の取得促進や時間外勤務の削減などを進める取り組みが位置づけられています。
続いているか。
成果は出ているか。
時代に合っているか。
必要なら、もう一度提案する。
私はこれからも、議会で取り上げた政策を「言いっぱなし」にせず、その後を追い続けます。
市役所が変われば、市民サービスが変わる。
職員の働き方が変われば、厚木市の未来も変わる。
平成28年の一つの一般質問から始まったこの取り組みが、これからも「働きやすい厚木市役所」、そして「市民に選ばれる市役所」へと進化していくことを期待しています。
「質問した」ではなく、「政策を動かした」。
これからも私は、そんな仕事を積み重ねていきます。
【参考資料】
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/soshiki/shokuinka/1/3655.html?utm_source=chatgpt.com
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/material/files/group/8/jissiyouryou2.pdf?utm_source=chatgpt.com
https://ikuboss.com/ikuboss-atsugi-city.html
https://www.townnews.co.jp/0404/2017/05/19/382863.html?utm_source=chatgpt.com
厚木市議会議員:望月 真実(もちづきまみ)

