11年間、地域と歩み続けた理由
2016年7月、私は厚木市で市内初となるこども食堂をスタートさせました。それから月日が流れ、今年で11年目を迎えます。
当時、「こども食堂」という言葉はまだ広く知られておらず、「なぜ食堂が必要なの?」「貧しい子だけが行く場所なの?」といった声も少なくありませんでした。それでも、目の前にいるこどもや保護者の「今日、誰とも話していない」「相談する相手がいない」という小さな声に応えたい一心で、この活動を始めました。

11年目の始動
スタート期の中心は貧困対策とシングル支援
活動を始めた当初、中心にあったのはこどもの貧困対策とひとり親家庭への支援でした。食事を提供することはもちろんですが、本当に届けたかったのは「安心」です。一緒に食卓を囲みながら交わすなにげない会話の中でこそ、こどもの変化や保護者の悩みに気付くことができます。行政の制度だけでは拾いきれない小さなSOSは、実はこうした日常のやり取りの中に隠れているのです。

第一回目
(発足当時はアシュールという名前でした)
市内16館の公民館を巡って見えてきたもの
活動は一つの場所にとどまらず、市内の公民館(分館を含む)16館を巡りながら開催を重ねてきました。子育て世代が多い地域、高齢化が進む地域、外国につながるこどもが多い地域など、地域が変われば集まる人も課題も異なります。地域へ実際に出向くことで、行政資料だけでは見えてこない暮らしの実態を知ることができました。それは、議員として政策を考えるうえでも大きな財産になっています。
全公民館を巡り終えて広がった、地域交流・多世代交流
すべての公民館を巡回する中で、活動の姿は少しずつ変化していきました。こどもだけでなく、高齢者、大学生、高校生、地域のボランティア、農家の皆さん、地元企業など、さまざまな世代が自然と集う場所へと育っていったのです。食事をきっかけに会話が生まれ、初めて会った人同士が「また次回ね」と笑顔で帰っていく。こども食堂は、いつしか「地域食堂」「みんなの居場所」と呼べる存在に変わっていきました。

広がり続ける活動の手段
11年間の中で、取り組みの幅も大きく広がりました。子育て相談、ヤングケアラーへの支援、フードロスの削減、農家・農業との連携、地元企業からの協力、学生のボランティア体験や福祉を学ぶきっかけづくりなど、活動の手段は実に多様です。これらはあくまで「手段」であり、目的ではありません。こども食堂は食べ物を配る場所ではなく、人と人をつなぐ場所。そのために必要なことを積み重ねてきた結果、活動は自然と広がっていきました。
ここ数年のテーマ、高齢者支援と孤食対策
ここ数年、特に強く感じるようになったのが高齢者の孤立です。「今日は誰とも話していない」「一人でご飯を食べる日が増えた」という声を耳にすることが増えました。こどもの孤食だけでなく、高齢者の孤食もまた地域の大きな課題です。だからこそ最近では、こどもも高齢者も同じテーブルを囲み、顔の見える交流を大切にしています。こうした関係づくりは、防災や防犯、見守り、孤立防止にもつながっていくと感じています。

最終目的は、「こども食堂がなくても」みんなが幸せに暮らせること
「これからもこども食堂を増やしていきたいのですか」と聞かれることがありますが、私が本当に目指しているのは、こども食堂そのものが必要なくなる社会です。誰も孤立せず、こどもが安心して育ち、子育てで一人で悩まず、高齢者が笑顔で外に出られ、地域の人が自然につながっている。そんな社会が実現すれば、こども食堂という仕組み自体は必要なくなるかもしれません。
それでも、誰もが気軽に立ち寄り、世代を超えて交流できる「居場所」は、これからも地域に必要だと思います。だからこそこの活動は、時代や地域の課題に合わせて形を変えながら、これからも進化を続けていきます。
2016年7月に始めた小さな一歩は、11年目を迎えました。「こども食堂」という名前にとらわれず、誰もが安心して集える地域の居場所を、これからも地域の声に耳を傾けながら育んでいきたいと思います。
こども食堂がなくても、みんなが幸せに暮らせる地域へ。それが、私が11年間変わらず目指し続けている未来です。
▼認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ▼
https://musubie.org/
▼特定非営利活動法人 神奈川こども食堂・地域食堂ネットワーク▼
https://kanasyoku-kodomo-tiiki.jimdofree.com/
▼【実績】子どものつながりの場の提供や生活支援▼
厚木市議会議員:もちづきまみ